多摩ニュータウン学会2004年度研究大会 企画書
I. 研究大会の目的
多摩ニュータウン学会は、毎年秋に研究大会を開催しています。これは広く、多摩ニュータウンを良く知り、良くしてゆこうとする市民、学生、研究者、各種団体が、研究および活動の成果を発表し、討論する機会とすることを目的としています。また同時に、多摩ニュータウンで活躍する様々な方々にご出席をお願いしてシンポジウムを開催し、貴重なお話しを伺う機会でもあります。
(1)参加者
会員を始めとして、広く一般公開で行われます。
(2)開催告知
学会ニューズレター・メーリングリスト等で会員に告知し、さらに自治体広報、パンフレット、ポスター、新聞などで一般に告知します。
(3)発表記録の公開
発表の要約を学会ニューズレター、ウェブサイトにて公開します。ご希望があれば、公開にあたって発表者による原稿チェックの機会をご利用いただけます。
また発表者で希望する方については、論文等を学会誌「多摩ニュータウン研究」にご投稿いただけます。なお掲載にあたっては理事会において採否の審査をいたします。
II. 本年度研究大会の開催日時、場所
日時 2004年11月14日(日)13時〜17時
場所 大妻女子大学多摩キャンパス(小田急多摩線唐木田駅下車)
III. プログラム
1. 開会 13時〜13時5分 細野助博:中央大学教授(多摩ニュータウン学会会長)
2. 第一部 会員による研究・活動成果の発表 13時5分〜13時45分
司会:高田一夫(多摩ニュータウン学会評議員:依頼中)
(1) 13時5分〜13時20分 八木 美佑紀(中央大学細野ゼミナール)「ゲームからアクションへ −環境体験教育の効果—」
中央大学細野ゼミナールは「地域における体験型環境教育プロジェクト」を実施した。環境問題の存在を認識し、解決に向けた取り組みが行われている一方、その取り組みがなかなか結果につながらない現状がある。これは環境問題に対する認識と、実際の日常行動との間にギャップがあるためだ。環境問題が自分自身や家庭、地域と、密接に結びついた問題であるという認識を持ち、一人一人が自発的に解決に向けた行動に移るには、「環境教育」が重要であり、また、小学生に楽しみながら興味を持ってもらえる有効な手段として「ゲームによる体験型環境教育」を設計した。そして立川市教育委員会の協力で立川市立第七小学校3、4年生20名を対象に、2004年8月3日・4日の2日間、国営昭和記念公園と立川市立第七小学校において環境体験教育プロジェクトを実施した。プロジェクトを通して得たデータ、実践活動の報告と、それらをもとにした、環境に対して意識の高い多摩ニュータウンにおける環境教育の実践、という政策提言を行う。
(2) 13時20分〜13時35分 中林 綾(東京都立大学建築学専攻)「映画から抽出されたニュータウンらしい景観の考察」
本研究の目的は、客観的に定義された過程によって、ニュータウンらしい景観の特徴を抽出することである。従来の景観研究で多用される観光関連の画像は、ニュータウンには少ない。また開発主体が作成した画像は、ニュータウンの計画者、建設者のニュータウンに対する理想像が反映されているため、必ずしも現実のニュータウンらしい景観画像となっていない。そこで、ニュータウンを舞台にして日常生活を描いた2点の映画をサンプルとして、ストーリーに深く関連する部分を除いた映像について分析を行ない、典型的な景観を抽出した。
3. 休憩 13時45分〜14時
4. 第二部 シンポジウム 14時〜16時50分
(1)主旨説明 14時〜14時5分 吉川徹:東京都立大学助教授(多摩ニュータウン学会筆頭理事)
テーマ「『共異体』多摩ニュータウンの将来像を描く:『民』によるニュータウンライフ創造の視点から」
わが国が少子高齢化、人口減少時代を迎え、特に多摩ニュータウンにおいてはそれらの現象が他地域を先取りして現れることが予想されています。さらに、オフィスの都心回帰、都心居住の進展、団塊の世代の大量退職など、多摩ニュータウンを巡る状況は厳しさを増しています。その一方で、わが国の地域社会の将来像を描くうえで、多摩ニュータウンは絶好のキャンバスといえます。これまで、生活に係わるあらゆるサービスが均質かつ不足なく供給されるという、わが国の戦後復興、高度成長の理想的な都市の将来像を、多摩ニュータウンは体現してきました。そして今、我々は、均一、画一的なものより個性的なものを求め、一人一人がユニークなライフスタイルを追求する社会に生きています。その中で多摩ニュータウンは、これまで築いてきた高機能都市基盤のうえに、互いに異なることを認めあうことから始める、ともに生きる地域社会=「共異体」を育むことによって、再びわが国の都市の将来像を体現する、魅力ある都市となることができるのではないでしょうか。
この新しい地域社会を育む担い手としては、従来の「官」主導のシステムではなく、市民活動のネットワークと多様なライフスタイルに対応した魅力あるサービスを提供する民間企業、すなわち「民」と、地方自治体のパートナーシップの構築が期待されています。そこで多摩ニュータウン学会では、生活空間としての多摩ニュータウンの成長を見守ってきた計画者の目と、多摩ニュータウンに根ざして生活に深く関わる事業を展開している民間の方々の目から見た、ニュータウンライフ創造の場としての多摩ニュータウンの新しい将来像と可能性、そしてそれを実現するためのパートナーシップのあり方について論じていただくための、シンポジウムを企画しました。
(2)招待講演 14時5分〜15時5分
1)池田禎男様(元 東京都 都市計画局土地利用計画課 課長)
2)山本理様(長谷工総合研究所 所長)
3)武藤治彦様(株式会社ららぽーと SC運営第二事業部事業推進課 課長)
(3)休憩 15時5分〜15時20分
(4)招待講演者によるパネルディスカッション 15時20分〜16時50分
・池田禎男様(上記)
・山本理様(上記)
・武藤治彦様(上記)
・中田将来様(U.S.S.エンタープライズ(株)代表取締役社長)
・コーディネータ 吉川徹:東京都立大学助教授(多摩ニュータウン学会筆頭理事)
5. 全体のまとめ 16時50分〜17時 松本暢子:大妻女子大学教授(多摩ニュータウン学会理事)
6. 閉会 17時
- 投稿タグ
- 研究大会