いま多摩ニュータウンは、団地再生に象徴されるような既存住宅ストック等の更新問題等で注目を浴びています。しかし、これは「問題」というよりは、住民がキープレイヤーとなってまちづくりを進めていく「郊外の再発見」と呼ぶべきではないでしょうか―。
 このような認識をもって、第10号記念として「郊外再発見」をキーワードに、ニュータウンの住環境整備の今後の方向性を占う論文や活動報告を集めました。全約170ページで、最多だった第9号の160ページをさらに超えました。巻頭では「国土計画とニュータウンの40年」と題した伊藤滋・多摩ニュータウン学会名誉会長と細野助博会長の対談を収録しています。

巻頭言「アーカイブから再発見へ」篠原啓一

<特集:「郊外」の再発見!>
「郊外、その都市としてのめざめ」細野助博
「都市計画の潮流と多摩ニュータウン」伊藤滋・細野助博
「団地再生はビジネスとして可能か」澤田誠二
「日本における集合住宅『減築』の可能性」石倉健彦
「諏訪・永山近隣センター活性プロジェクトの展開」片桐徹也
「住民が進化させる公園管理~指定管理者として長池公園を発見する~」内野秀重、川端 恒夫、青木由紀子、阿部績子、榊啓子、富永 一夫
「『郊外』再発見~住環境管理から~」浅見泰司

<論文>
「多摩ニュータウンにおけるこどもをめぐる犯罪の発生実態と環境要因に関する考察」上野淳・松本真澄・崎田由香
「映画から抽出されたニュータウンらしい景観」中林綾・吉川徹
 
<研究ノート>
「市民の参加の意義と可能性」中央大学総合政策学部細野ゼミナール
「自治体再編と多摩の未来」内田通夫

<多摩ニュータウン自治体施策紹介>
「多摩ニュータウンこの10年とこれから~ ニュータウンづくりを想う ~」八王子市長 黒須隆一 
「多摩広域みどり空間― 町田市北部丘陵地域のこれから─」町田市長 石阪丈一 
「多摩ニュータウンのこれまでとこれから」多摩市長 渡辺幸子 
「稲城市における多摩ニュータウン、この10年とこれから」稲城市長 石川良一

<活動報告>
「アーカイブ・プロジェクト報告」西浦定継・中庭光彦・松本祐一 
「地域政策アーカイブズの課題~大学アーカイブズの経験から~」桑尾光太郎 
「明星大学日野キャンパスを見学する~高層建築から眺める多摩ニュータウンの風景~」西浦定継 
「多摩ニュータウンの火葬場と墓地」八木澤壮一 
「八木澤先生講演への付言」成瀬惠宏
「リレートークで綴る『よこやまの道』誕生秘話」多摩ニュータウン学会謎解き団
「多摩ニュータウン遺跡の価値」小薬一夫
「多摩ニュータウン再生の目標と道筋を探る」西浦定継
「シンポジウム外国人から見た多摩ニュータウン」保井美樹 
「ニュータウン研究書誌:郊外論の系譜~発見の場としての郊外~」中庭光彦