~防災ウォッチング報告~
防災の日を間近にひかえた8月29日(火)、多摩市防災課協賛のもと、多摩市各自治会代表の方、学会会員、一般参加者など23人が、広域多摩におけるライフラインの災害対策状況を視察しました。
【パート1】都立大学 山崎晴雄教授による「活断層と地震防災」講義
一行はまず、プレート活動による活断層と地震の関係、全国的な活断層の分布や典型的な地形、立川断層の形成状況などを学びました。講義のあと、多摩市が手配してくださったチャーターバスで実際の立川断層を見学。ゆるやかな坂をなす立川断層は、今後2~3千年はおとなしかろうとの予測です。
家屋が破壊を受けても人間の生命は守れるよう、行政が建築基準の見直しを行う一方で、私たちも家具の固定や家庭用消火器の備え、最寄の避難場所や給水所の確認などしておいたほうがいいですね。
【パート2】立川地域防災センター見学
大災害で首都機能がマヒした場合のバックアップセンターが、立川の昭和記念公園の近くにあります。平時においてはほとんど使われることのない施設ですが、「天災は忘れた頃にやってくる」。いつ起こるか判らないことに備えるのが、危機管理。防災センターの備蓄品は、三宅島など国内の災害地に有効活用されているようです。
【パート3】山口貯水池(所沢市)堤体補強工事の見学
都民の水瓶のひとつ山口貯水池では、阪神・淡路大震災をきっかけに昭和初期に作られた堤体(堤防)を補強する工事が進んでいます。粘土や土砂を締め固めた堤体は、高さ35m、厚さ182m。これを上流側と下流側それぞれ盛土して厚さ284mにする工事で、完成は平成14年11月の予定。炎天下で唸りをあげる巨大ブルドーザーやユンボが、堤体からはまるでオモチャのように見えるほど、壮大な工事現場でした。
堤が破れると、直下の住宅街が致命的被害を受ける。市民の生命と財産を守ると同時に、生命の源としての水を確保する。自然の力と人間の知恵を結合した現場に立って、私たちの何気ない生活の便宜と安全は、このような所で確保されているのだと、感謝と敬意を抱いた次第です。
【パート4】多摩丘陵幹線送水管工事の見学
上流で水資源を確保し、各浄水場から各給水所に送水する。もし、災害や事故でその途中のライン(南北方向)が破壊されたらどうするか。そこで、多摩地区の給水所同士を東西方向でつないで水道の相互融通性を持たせようというのが、この工事です。聖ヶ丘・鑓水小山・小野路の3給水所(全長12km)を、地下30m、直径1.5mのパイプで結ぶ工事現場が、多摩大学の横にありました。
シールド工法で地中を掘り進む巨大な機械の働きで、私たちの日常生活の水が安定供給される。地上のビル建築は誰の目にも明らかですが、私たちの知らない地下深くで行われる工事が、実は私たちのライフラインを守っているのでした。
今回の防災ウォッチングは、災害に対して無関心・無防備な日常に埋没している自分を思い知らされた企画でもありました。天災は、防げるものではありません。が、いざコトが起こっても、その被害を最小限に抑える知恵と力を人間は持っているということ、そして市民一人ひとりも防災への意識と知識をもっておきたいということを実感しました。東京都・多摩市はじめご協力いただいた各機関の皆様に感謝申し上げます。
(文責 植月真理理事)
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