【伊藤会長】
住宅の供給に関して,私の考えを申し上げますと、公が出過ぎてはいけないと思います。役人は役目が縦割りに決まっていています。しかし、会社、企業の最終目的は利益を求めることですので、そのために競争し、質の良いものを作り出します。

住宅も「公」が建てるのではなく、民間企業に建てさせ、質の良いものを公が買い取るなどをすれば、結果として住民に良いものが供給されます。公を頼りにしすぎないでやっていける街作りが必要だと考えています。

【石川良一さん(稲城市長)】
行政が必要な部分もあります。そのひとつがごみの問題です。ごみを出しやすく、しかもリサイクルにも活かせるようにするのも課題ですし、市内で出たごみをきちんと市内で処理でいなければいけません。発電や余熱を利用したり、リサイクルの問題、ダイオキシン、下水処理の問題もあります。

汚いものを目に見えないように処理されていますが、実際にどう処理しているのかを知っていかなければ、文化のバランスが壊れていくのではないかと思っています。どう処理されているのかを知らなければ、環境のことも考えられないのではと思いますし、個人の倫理の問題にも関わってくると思います。

【堤香苗さん】
私は2つの提言をしたいと思います。
<ネットワークのネットワーク化>
まず、ひとつはネットワークのネットワーク化ということです。多摩NTではインターネット上でネットワーク団体が出来ています。そこで従来型のネットワーク(農村型社会)と新しいネットワーク(コンピュータ上)のリンクすれば、それぞれのネットワークの持つ情報を開示し、情報を投げかける事により、2倍3倍になって情報が返ってくるということもあるのです。そうすればネットワークが広がっていくのではないかと思います。つまりコミュニティの規制緩和ともいえます。

そのためには、コミュニティーセンターを地域限定からもっと開放されたものにして活用の幅を広げていく必要があるのではないかと思います。また、企業のコンピューターセンターで廃棄される古いコンピュータを地域に寄付してもらって、地域の情報化に役立てて
いければと思います。そのためには地元の企業が地域に貢献したときにはその寄付したものには税金をかけないなどの、行政が規制緩和を実現して行く必要があります。

<責任と権利>
それから、もうひとつの提言は使用する側の権利と責任とについてです。例えば、多摩NT学会などでもただ単に話し合いをしているだけではなく、いろいろなことにチャレンジしてうまくいかなければそのところだけ修正していくという形をとってもいいのではないでしょうか。話し合いをしているだけの団体ではなく、それを実践していける団体になり、一人一人が責任を持って権利を主張できるようになると多摩NTはもっと変わるのではないかと思っています。

【石川光男さん(南大沢)】
私は、この街は住みにくいとおもう人間が多い街が「生きている街」であると思います。住みにくいけれども、ここに住みたいと思うからいろいろな意見を言うのです。住みやすい街にするために、意見を出し、情報交換することが活性化につながると考えています。

意見を出さなければ単なる住民、納税者にしかすぎません。それから、いろいろな意味で多摩NTはきれいすぎます。例えば、自分のことだけをやっていれば他人のことはかまわないという姿勢もそのひとつではないでしょうか。このような姿勢のツケはいつか必ずまわってきます。

私は南大沢に住んでいますが、八王子市役所に行ったら、「あそこは山向こうですから」と言われました。多摩市ではあなたは隣の八王子の人だから市の施設は使えませんと言われました。両方の市境に住んでいてどちらの施設も使いにくいので私は「多摩市南大沢」
に住んでいると皮肉で言っています。

八王子市に住んでいても市境であることから、福祉施設などの公共の施設を利用しにくいのが現状です。なのに税金はしっかり取られます。行政はこういったネットワークだけはしっかりしているのだなと思いました。

【伊藤会長】
多摩NTという地域が本当の地域として意識すべきであって、市境というのは便宜的なものと考える時代だと思います。納税者にとっての良いサービスとは市を意識しないで意見を述べサービスを受けられるようにすることではないでしょうか。

この要求をできる人たちは、通称、団地族と言われる人達です。土着の人達は歴史的に先住権を持っていて、自分達の暮らしやすいようにシステムを作ってきました。しかしそのシステムは新しい人達にはそぐわないことがあります。

そこで、新住民の代表格である団地族がいろいろな要求をして、古くからの人達と同じように住みやすさを感じられるように、自分達の要求を主張していくことが大切でしょう。そして行政が団地という多くの人が生活する場でも市のサービスを充実させていく必要が
あるでしょう。また、そのサービスをいかに効率良く利用できるかが問題になってくるでしょう。

【田中慎一さん】
最近行政批判の声が聞こえてきますが、私は政治や行政をどうコントロールするかが問題だと思います。いかに市民が政治や行政をコントロールし、新しい社会を築くかを真剣に取り組まなければなりません。そのためには、お任せの意識を捨て主権者意識、納税者
意識をしっかり持ち市民として確立した地位を築く努力をすべきです。そうすることで無駄のない行政、有効な社会投資が行われるようになるのではないかと考えます。

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