「港北ニュータウン視察」

平成15年4月19日(土)9:45横浜市営地下鉄センター北駅集合集合。初夏を思わせる快晴のなか、港北ニュータウンを視察してきました。参加したのは15人で、川手先生の精力的なガイドで下記プログラムにより行いました。


* センター北駅集合(am.9:45)
* 都筑民家園
わ創連の会合に参加(am.10:00~11:30)
福富さんの司会により、各活動メンバーの話を聞くことができる。
* センター北駅→仲町台駅→パークサイドカフェ(am.12:00)
* パークサイドカフェ
話を聞きながらランチ(\1,500)(pm.0:00~1:00)
清水さんの話は、「センター地区の計画と申し出換地」「つづき人交流フェスタ」「生涯学習支援」
* パークサイドカフェ→中央公園
緑道散歩(pm.1:00~2:00)
* 中央公園・自然体験園事務局長の話を聞く(pm.2:00~3:00)
山岸自然体験園事務局長の話は、「都筑区市民の活動の場について」

 

都市開発に関してはド素人の植月です。初めて知ったことを、所感を交えながらいくつかご紹介します。

1.港北NT全容

港北NTは全域で2,500ヘクタール。このうち、公団が開発した1,300ヘクタールが今回の視察対象エリアです。横浜市都筑区の99%が、ここに含まれています。

多摩NT開発の目的が「都心で働くサラリーマンの住宅を大量に供給する」ことだったのに対して、港北NT開発は最初から「複合都市づくり」にありました。

2.区画整理法

多摩NTは「新住法」による大規模土地買収で始まりましたが、港北NTは「区画整理法」で行われ、「申出換地」という手法がとられました。つまり、自分の所有地を完全に手放したのではなく、いったん提供して、後で希望の用地(もちろん調整がありますが)を購入・活用することができたということ。

このため、開発に当たっては市民参加で700回を越える協議・会合を重ね、公民連携で計画が進められたようです。

3.まちづくり市民活動団体は約300!!

都築区のまちづくり市民活動は非常に盛んで、大小いろんな団体があり、これらをゆるやかに取りまとめているのが、今回お世話になった「わ創連都築」(世話人代表:福富氏)です。弥生時代の遺跡を発掘・保存している大塚・歳勝土(さいかちど)遺跡公園のなかに都築民家園という古民家があり、そこで「わ創連都築」の定例会のほか、様々な団体の会合や行事が行われています。多摩市にも一本杉公園の中に古民家がありますよね。あれと同じような感じです。

 

4.まちのインフラ

あちこちにふるさとを思わせる自然の緑とせせらぎの公園があり、それらがグリーンベルトというか、緑の遊歩道でつながれており、緑と水の散歩道になっています。アヒルやカモがせせらぎにいて、家族連れや町内会の集まりのような人たちが木陰の芝生でお弁当を広げたり酒盛りをしてました。多摩と同様、車道と遊歩道は分離されています。先述の古民家や公園の管理は民間に委託されていて、公団・自治体と地域の市民が連携して、楽しみながら街を支えている様子がよく感じられました。(このへんは、多摩NT学会はじめ私たちの目指す姿ですね)

 

まだ新しい街、若い世代や子ども人口がどんどん増えている街です。同じNTでも多摩とは生い立ちや時代背景がまったく異なっており、少々うらやましくさえ思いました。けれど、多摩NTは言わば日本のNTの先輩格。しかも、少子高齢社会・成熟型社会を象徴する街です。多摩NTの明日づくりが、日本の将来像のモデルケースになるだろうと、あらためて思いました。別に気負ってるワケではありませんが、多摩のまちづくりを楽しみながら等身大でできることから関わっていきたいなと思った次第です。

今回お世話になった川手先生、「わ創連都築」の福富さん・清水さん、中央公園・自然体験園事務局長の山岸さん、ありがとうございました。

植月真理


19日の港北ニュータウン視察に参加した木内です。植月さんに続き、私は、多摩ニュータウンとの違いを感じた部分に絞ってご報告します。

1.横浜市都筑区という単一の行政区内であること

多摩市、八王子市、稲城市、町田市という歴史も伝統も異なる複数の自治体にまたがる多摩ニュータウンとは決定的に違っている点です。そして、植月さんの報告にもあったとおり、土地区画整理事業という手法によっていること。緑道に面した素敵なレストランで昼食を楽しみつつ、川手さんから、土地の篤農家が率先して区画整理のまとめ役として尽力されたエリアから開発が進み、その様子をみて他のエリアも後に続いたこと、そういう旧地主が新しいまちづくりでも中心的な役割を果たし、新旧住民の融合がうまく図られたこと、その旧地主が高齢化していくなかで、自然に都市型の自治会運営に移行しつつあること、などのお話を伺いました。

また、「誰かが声を出せば、必ずついてくる人がいる」「よりよいまちづくりのために個人が頑張る、団体が頑張る、ネットワークが頑張る、そうすると、行政も加わって、一つのテーブルについて話をするようになる」という「わ創連」の皆さんのお話にニュータウン開発前から、市民と行政との関係の作り方の土壌があったことを痛感させられました。

公園の管理のための市民組織づくりでも、町会や校長会・PTAとなど地縁・既存の組織とうまく連携しながら、市民型組織が実働するというスタイルでやっているとのことでした。

2.時間をかけた基礎づくり

市民と行政との関係づくりでもう一点興味深かったのは、生涯学習支援センターがまちづくり・ひとづくりに大きな役割を担っているということです。

市民がいろいろな講座を企画し、その受講者がグループをつくる伝統が出来ている、のグループが行政に具体的な提案をし、行政がそれを取り上げて実現していく、そういうシステムができているようでした。

里山型の公園管理をする人材を育てるために3年間をかけて里山講座を行ったという話もありました。

3.ニュータウン住民の平均年齢は30代半ば!

実際に住み、生活している人たちは、多摩ニュータウンに比べてまだ若いようです。そして、横浜市長も30代の中田市長になり、まちづくりにとにかくNPOを、という方針が顕著になったとか。とはいっても、現実にまちづくり活動を実践している人は50代、60代、やる人は何にでも関わり、何もやらない人ととの2極化があることは港北ニュータウンでも同じとのこと。それを嘆くのではなく、今やれる人が、人付き合いの苦手な若い世代が参加しやすいように工夫したり、ちょっと後押ししたりしているようでした。

「わ創連」の方々が「わがまち」に愛着を持って活動されている様子が印象的で、ニュータウン内を案内してくださった川手さん、清水さんの健脚ぶりと、中央公園自然体験園事務局長の山岸さんの切れ味鋭いお話に圧倒されつつ、久しぶりに気持ちのいい汗をかいた、充実した1日でした。

以上、 補足のご報告。   木内 基容子

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