多摩ニュータウンの第二ステージ -分権時代の自立と連携-

シンポジウム趣旨説明

 多摩ニュータウン学会は、多摩ニュータウン地域の多様な問題について、総合的学際的な視点から、研究者と市民が協力して研究・調査し、その研究成果と相互交流を図ることを通して、市民生活の向上並びに地域文化の創造および地域の発展に資することを目的とし、春の年次大会、秋の研究大会をはじめとする活動を行っている。

 本年はテーマを「自立と連携を求めて−多摩ニュータウンの第2ステージ−」とし、以下の趣旨で活動を行う。

 多摩ニュータウンは誕生から30年を経て、都市として円熟してきたが、様々な都市問題も顕在化しつつある。多摩ニュータウンは、外部からの資源投入による街の開発という外部依存型地域構造の「第1ステージ」から、地域内での経済活動の活性化や住民の手による街づくりといった自立型地域構造という「第2ステージ」への転換の時代を迎えている。2000年4月より地方分権一括法が施行された。地方分権の時代を迎え、各地域での自立的な構造変革が求められている。しかし同時にそれは、介護保険の実施事例などにみられるように、一行政地域内の行政ではなく、他地域との連携による地域変革も要請されるのである。自立と連携は車の両輪となって、地域の生活・経済構造を形成する。それは孤立系地域から開放系地域への変革でもある。多摩ニュータウンの「第2ステージ」は、自立と連帯を追求し、開放系地域を構築する視点に立った街づくりが求められているといえよう。

 以上の趣旨にたった春の大会では、特に地方分権一括法案の施行に焦点をあて、「分権時代の自立と連携」と題したシンポジュームを企画した。

 はじめに、「分権時代の自治体行政」と題し、三鷹市助役の内田聖二氏からご講演をいただき、分権時代の自治体行政のあり方を考察する。 「自立と連携」とは、行政視点から見れば、国政からの自立と近隣自治体との連携を意味するであろう。しかし、自立と連携を追求した地域社会の創造は、行政のみの課題ではない。今日の地域社会の創造の担い手は、行政と同時に市民でもある。行政と市民がそれぞれの領分での力量を生かし、双方が連携しながら地域社会を創造することが求められている。行政と市民の自立を連携である。

 そこでパネルデスカッションでは、行政サイドと市民サイドから、新しい地域社会の創造に取り組んできた方々をむかえ、分権時代に必要とされる市民と行政との自立と連携に焦点をあて、地方行政のあり方と地域構造変革の課題を追求する。