わが街の学会
東京の南西部に広がる多摩ニュータウン。約30年前に開発が始まり、4市に18万人が住み、現在も分譲が進む。アニメ映画「平成狸合戦ぽんぽこ」の舞台にもなった。
この街に2年前、学会ができた。「多摩ニュータウン学会」(伊藤滋会長)。会員は約150人。研究者が中心で、大半が住民だ。ニュータウンにある大妻女子大で開かれた「地域を考える」の公開講座をきっかけに、ニュータウンのさまざまな問題を総合的に研究、発表していこうと設立された。インターネットにホームページを開設、昨年10月には学会誌を発刊、2回目の研究大会を開き、100人以上が参加した。ニュータウンウオッチングや女性会員交流会も行っている。
事務局役を務める大妻女子大の炭谷晃男助教授は「行政主導ではない市民中心主義による街づくり、コミュニティーづくりなど、社会に貢献できる提言をしていきたい」と語る。
年齢的に近い世代がまとまって入居したため、「少子高齢化」が集約的に表れる。入居後20年を超える団地では小学校の統廃合が始まっている。もともとが丘陵だっただけに階段が多く、高齢化が進めば、生活上の障害になる。日本全体がこれから直面する「少子高齢化」の先行的な研究の場になるかもしれない。