第3回多摩ニュータウン学会情報インフラタスクフォース
日時:3月11日(土)10時〜12時
場所:中央大学総合政策学部11号棟西館2階
11240(コンファレンスルーム、何時もと同じ部屋)
テーマと講師:
テーマ1:川崎市の地域情報化事例紹介
総務部情報管理部システム課副主幹大阿久様、
行政情報課主査鈴木様
光ケーブル整備状況と地域ネットワークとしての発展に向けた課題
テーマ2:世田谷区の地域情報化事例紹介
世田谷区政策企画課 西澤政策担当課長(制度改革・政策担当部)様
当区の地域情報化の取組としては、区民・事業者・行政の適切な役割分担に基
づき、
地域住民のより豊かな生活を支えるための「世田谷ヒューマンライフネ
ットワーク」の
構築を目指しています。
構築にあたって、(1)国等からの補助による基盤整備、(2)国道246号建設省
光ファイバー敷設を視野にした住民モニターによるモデル事業の実施、(3)民間企
業と行政とのコンソーシアム(世田谷情報ハイウェイ推進協議会)の設立と実証実験
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テーマ1:川崎市における情報インフラ整備について
1.地域情報通信基盤整備事業の概要
下水道施設の管理用に敷設した既存の光ファイバー(約37km)に加えてネ
ットワークの信頼性や多目的化を図るために,新たに約43kmを今回の整備事
業で追加してネットワークのループ化・多心化を行い,これを基幹ルートとして
整備する。そして,この基幹ルートから区役所などの各施設へ支線(約10km)
を敷設して総延長約90Kmのネットワークを実現する計画である。
このネットワークには第1次接続施設として,市役所の本庁と7区役所・2支
所・4出張所に加えて学校関係のネットワークの拠点である川崎市総合教育セン
ターを接続する。次に第2次接続施設としては,本庁との通信より施設間同士で
の通信トラフィックが多い施設を対象にして,各区の消防署や市立病院などを予
定している。
次にこのネットワークの整備スケジュールとしては,今年度は基幹ループの光
ファイバーを敷設して,来年度支線ルートの光ファイバーを敷設していく予定で
ある。そして平成13年度の運用開始を目指している。
このネットワーク上で稼動するシステムとしては,コンピュータ系として,住民
票や印鑑証明の発行業務,市税システムや福祉情報システムなどのいわゆる区役
所事務のサービスに利用し,さらに庁内事務処理サービスに利用していく予定で
ある。また,コンピュータ系のデータと一緒に音声などもデータとして伝送が可
能となるため,この機能を利用して庁内電話の総合内線化を行う。
2.通信基盤整備の目的・ねらい
本市では,平成15年度運用開始を目標にワンストップ・ノンストップを実現
する電子市役所を構築していく計画をたてている。そこで考えるべき点として経
費と情報セキュリティの問題があるが,自前でネットワークを構築する目的はこ
こにある。
本市の通信経費は,平成10年度の実績で年間3,000万円であったものがこのま
までは平成13年度では約1億円となる見込みである。また,行政事務の情報化
によるネットワーク情報機器の増加や,分散型・ネットワーク型システムへの移
行といった流れを考慮すると,通信回線費用は一層増えていくと考えられる。通
信回線を自前で準備できるということは,単純に通信回線経費の節減だけでなく,
情報システムの企画・設計時にネットワーク的なボトルネックがなくなり,情報
システムが結果的に安価で効率良いものになると期待している。
また,この統合化した情報通信インフラにより,WAN回線の集約化が行え,
さらに,民間の通信事業者回線から本市自前の通信回線で,通信回線部分を本市
の管理下におくことができ,十分な情報の保護対策が可能となると考えている。
次に,この情報通信ネットワークの情報ハイウェイとしての高度利用について
は,いろいろ考えているなかで実現可能性が高いものとして,防災ネットワーク,
映像系システム,医療系システムへの利用などを考えている。
いすれも構想の段階であり,クリアしなければならないハードルがあるが,今
後の周辺技術の発展も踏まえ,実現に向け研究していきたいと考えている。
3.ネットワークの今後の発展
この情報ネットワークは情報通信回線コストの削減や情報セキュリティの確保
を主たる目的に整備を進めたため,必然的にネットワークの性格はクローズドネッ
トワークとなっている。また,構築費用も今回の事業ではファイバー敷設費用は
1qあたり1,100万円ほどかかっており,今後このネットワークをさらに拡大しよ
うとした場合に,この整備費用に見合うサービスはなかなか見つからないのが実
状である。
さらにケーブルが敷設可能な下水道の管径や光ファイバーの曲げ半径などに制
限があるためルートが限定される。また,下水道に敷設されていることからメン
テナンス性も架空配線よりはるかに劣る。これらのことを考えると,現状ではこ
のままの方法で一般家庭までこのネットワークを展開していくことは非常に難し
いと考えられる。
そこで今後のネットワークの展開としては,接続施設は公共施設に限定して展
開し,さらに公共施設の中でも情報の受発信拠点を中心に考えていく。そして,
電子市役所構想の実現に向けて,このインフラが利用できないような施設につい
ては民間通信事業者の回線を利用してこのネットワークへの接続を図る予定であ
る。
4.地域ネットワークと行政の役割
本市でも下水道光ファイバーの整備構想段階では,地域ネットワークとし
てオープンネットワーク化する案もあったが,結果的には敷設コストの問題と,
それを行政が負担する必要性が見つからなかったことから実現しなかった。具体
的には行政としてどんなサービスがあり,どんな情報を流すのかという問題であ
る。
地域ネットワークを一般的に考えた場合には,一般家庭に入る方法や網構成,
実現スピード,双方向性の実現方法などの点で考慮すべき点が多くある。
さらに,実際のネットワーク整備の段階では,整備の担い手(主体)が民間と
公共のどこが担うのか,その費用は利用者負担となるのか行政が参画して税を使
うのかといった問題もある。いずれにしても,地域ネットワーク整備において地
方行政の果たすべき役割が明確になっていないのが現状であると考えられる。
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テーマ2:世田谷区の地域情報化事例紹介
1)国等からの補助による基盤整備(郵政、通産、建設、厚生省等の補助事業を
導入)
財政状況の厳しい自治体にとって、情報インフラ整備に補助金などを活用する
ことは大きな検討事項です。一方、国でも情報化時代に合わせ、情報インフラ整
備を積極的に進めていく方針を打ち出しており、各省庁に多くのプロジェクトが
あります。
世田谷区では、区の情報インフラを整備するために、幾つかの補助金を活用し
ていますが、その主なものは、次のとおりです。
@ 平成9年度 先進的情報通信システムモデル都市構築事業(通産省・郵政省共管)
・内容=施設案内、福祉情報提供、防災情報システム整備
・補助金額=1億8800万円
A 平成10年度先進的情報通信システムモデル都市構築事業(通産省・郵政省共管)
・内容=総合まちづくり情報システム、地域映像情報提供システム
・補助金額=2億5000万円
B 平成9年度・10年度マルティメディア居住者支援モデル事業(建設省)
・内容=居宅高齢者へのマルチメディア機器による生活支援の実験
・補助金額=1500万円
(2)民間企業と行政とのコンソーシアム(世田谷情報ハイウェイ推進協議会)
の設立と実証実験
@ 発足の経緯と10年度の取り組み
情報化の取り組みは、行政だけでは推進できません。そのノウハウを持つ民間
企業の協力を得ながら進める必要があります。そこで、区は情報関連企業に声を
かけ、官民での検討組織「世田谷情報ハイウエー推進協議会(以下「協議会」と
言う。)」を平成9年度末に設立しました。協議会は、区長が代表幹事を務め、
関連企業55社の参加を得て発足しました。
協議会では、10年度5つのワーキンググループ(以下参照)に分かれて、目
指すべきアプリケーションや情報通信基盤の検討を行いました。
教育・学習サービスWG (マルティメディア通信による生涯教育講座)
地域コミュニティWG (マルティメデャイア公民館)
地域産業活性化WG (電子ショッピングモールシステム)
保健・医療・福祉サービスWG(遠隔保健・医療・福祉支援システム)
通信基盤整備WG
A 世田谷情報ハイウェイモデル実験(11年度の取り組み)
平成10年度の各WGの検討を踏まえ、平成11年度には、モデル実験を始めます。
各WGで検討したアプリケーションをメニューにして、広く公募を行った結果、9
社9つのアプリケーションが採択され、世田谷区内をフィールドにし、3ヵ年に
わたる実験を開始しました。
実験を行う通信基盤には、光ファイバーを家庭まで直接引き込む(FTTH)を使
用するなど、生活における、高速大容量の通信環境下での情報化の可能性を探る
ことにしています。区民にも実験モニターになっていただき、民間・行政・住民
の参画によりバランスのとれた地域情報化を目指しています。
また、国道246号線では、建設省が道路に敷設した光ファイバーを活用して
、歩行者へ情報提供が可能な「街頭端末」を設置し、様々なアプリケーションを
実験する予定です。
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☆☆☆☆☆ 多摩ニュータウン学会スマートグロス部会
情報インフラタスクフォース 事務局 高橋俊彦 Toshihiko Takahashi
tosichan@nifty.com(new private ID),tosichan@mb.infoweb.ne.jp(old)
Tel/Fax 042-374-7086(Mobile 070-5553-2622) ☆☆☆☆☆