多摩ニュータウン学会会員の皆様

 朝日新聞・読売新聞で事前記事が出ましたが、1月22日(土)中央大学にて約30名
の産・官・学の専門家・関心のある方がお集まりになり、多摩ニュータウンの情報インフラタスクフォースを立ち上げてくださいました。短期決戦を考えております。「我こそは専門家・戦略家」を自負される方は、最新の知恵をお持ちになってどうぞ御参加を。御参加を勧めるために、当日の概要の一部を転載致します。尚、詳しい概要は後程、多摩ニュータウン学会のホームページやメーリングリストに掲載致します。
                                                                                             細野
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以下、すこし長くなりますが、設立開の時の発言の一部です。ご参加の御参考までに。

「多摩ニュータウンの情報インフラタスクフォース」設立会発言のまとめ

中央大学総合政策学部・大学院総合政策研究科 教授
細野助博

(1)設立の趣旨
多摩ニュータウンは開発から30年が経過し、時代の変化や都市間競争の進行でさまざまな課題が浮かび上がりつつある。その一つがこの地域における少子高齢化の進行であろう。住民の大半を占める団塊の世代が定年期を迎える平成21頃には多摩市の人口で推計すると、60から74歳までの高齢者前期が16%、それ以上の高齢者が6%で、合計22%の高率に達する。人材として我が国ではまれに見るくらいの水準にある住民が集積している多摩ニュータウンで、とくに高齢者前期に現役として価値創造にあるいは次世代育成に力を発揮してもらうためにも、また大きく産業界が変革を遂げている中でSOHOを中心として、創業意欲とその実践が世代を超えて生まれ発展して行くための「孵化装置(インキュベータ)」の供給が、この地域に望まれている。また、都心依存から脱却し得ない事と都心自身の居住者獲得政策は、ますます強まる都市間競争に多摩ニュータウンが一歩も二歩も遅れを取る事を意味する。現に、多摩市
の人口は減少に転じていることは、その兆しでもある。また、都心への高率な通勤通学は交通需要の高まりをもたらし環境負荷を大きな物にしている。単なるベッドタウンから複合的な業務都市への変貌が急がれる。以上の課題の克服にとって、さまざまな解決策が講じられる必要があるが、もっとも急を要する策として「情報インフラの整備」、とくに高度情報通信網の完備である。そのために、産・官・学・住民の効率的な共同研究、共同作業が必要である。躊躇している暇など無いことをあえて強調したい。

(2)設立理念としての「スマートグロース」
産業の活性化、地域コミュニティの活力育成、環境保全の重視を3本柱とする「スマート・グロース」という概念を導入する。「スマート」を、思慮あふれた、長期戦略構想を持つ、スピード感あふれた、協調ネットワーク型などの意味をそこに含めて用いる。「グロース」は、経済学で言う従来型の長期的経済成長というより、もっと幅広く文化や環境を含めた構造的な発展や進化を地域空間に創造する「ダイナミックな動き」と定義したいこれは、米国の「スマート・グロース($mart Growth)」よりは、かなり厚く広い概念として、われわれはあえてカタカナで表記する。このスマートグロースを設立理念として、多摩ニュータウンでの実現を目指す。

(3)「情報インフラタスクフォース」の活動目標
 広く英知を多摩ニュータウン住民や多摩ニュータウンの地域を越えて結集する。そして、研究と実践で目標を出きるだけ迅速に達成し、活動目標の進化を図る。まず、技術と政策の研究から開始する。技術はドッグイヤーと言われるくらい日進月歩の「情報インフラ」の技術革新で長期的な方向性と短期的な技術の比較優位性を調和させるための研究である。また、政策研究は「情報インフラの需要・供給の動向」「官民のコラボレーションの有り方」「情報インフラを利用した地域コミュニティのあり方」などのけんきゅうである。その研究を通して、情報インフラを多摩ニュータウンに完備する事を「第1期の活動目標」とする。