多摩ニュータウン学会 2001年度研究テーマ

信頼と連携のネットワーキング

〜新しい都市コミュニティの形成をめざして〜

 

趣 旨

 21世紀を迎え、また入居開始から30年目を迎えた多摩ニュータウンは、さまざまな課題を背負っています。都市の理想を具現化する中心地「多摩センター」が衰退の兆候を見せており、地域のリーダーシップもいまだ見えてきません。都市の魅力に敏感な若者の支持は低く、高齢化は着実に進んでいます。また、財政バランスも少しずつ悪化の傾向を見せています。

 しかし、この危機的状況の中で、新たな変化も出ています。それは、実効性と持続性のあるNPO活動が輩出しつつあること、先見性のある実力企業が多摩ニュータウンへの協力姿勢を強めていること、多摩ニュータウン周辺の大学が積極的な地域貢献に目覚めつつあること、行政が「住民主役・行政脇役」の本質に気づきつつあること、当初からの開発主体である都市基盤整備公団や東京都のしばりが徐々に緩められつつあることなどです。

 これらの変化は、多摩ニュータウンにとってチャンスを呼びこむものとして歓迎すると同時に、この変化を「多摩ニュータウン再生」のために活用したいものです。そのためには、住民・行政・企業・大学がお互いに「信頼」しあい、その持てる力を相互に融通する「連携」を深めるネットワーキングを積極的に進める必要があります。

 とはいえ、このネットワーキングが「いかにあるべきか」「いかに運営すべきか」について、合意もノウハウも私たちはいまだ手にしてはいません。そのためには、私たちは、理論化と着実な実行計画を構築するために、今すぐ行動を開始しなければなりません。

 このネットワーキングは、「真の豊かさを実感できる新しい都市コミュニティ」をデザイン・創造するための人智を結集する手段として位置付けたい。

 今年度は、このようなネットワーキングのあり方を積極的に研究し、議論を深めていきましょう。