「サラリーマンからみた多摩ニュータウン」 田中慎一(八王子市堀之内在住)

 私は毎日、堀之内から新宿副都心に通勤しているサラリーマンです。生活は多摩NTでしていますが、平日は勤めに出ていますので、週末住民という状態です。そのような状態なので皆さんのお話を聴いて、多摩NTにはいろいろな問題があるのだと、あらためて認識しました。

 今日はサラリーマンとして街づくりをどのように考えていくのかを課題として、土・日しかNTにいない人間がどのようなイメージを持っているのか、自分自身に問い直して考えたことをお話してみたいと思います。

<サラリーマンの政治的な意識>
 
まずサラリーマンの政治的意識についてです。街づくりは行政、政治の選択つまり、政治的な判断によって進められています。日常的な空間のインフラの整備は財源、優先度を考慮し、最終的には政治的判断で決まります。

 今は政治離れが進んでいます。つまり政治に対する市民参加がなされていないといえます。そして、政治に対する市民参加を考える同好会、サークルがありますが、いずれも行政を動かすようなパワーを持っているかというと、そうではないのが現状です。

 これをサラリーマンはこのような状態をどう見ているのかといいますと、サラリーマンは週末の土・日ぐらいしか街づくりを考える時間がありませんが、選挙にきちんと行って投票することから、街づくりに参加していくことが重要だと私は考えています。

 よく、「街の未来図は住民参加で。」といわれていますが、決定は住民が行わなければ意味がないでしょう。そして、市民参加のやり方は選挙という形をとっているので、棄権は住民自身が街づくりを放棄していることにもなりかねません。選挙の放棄する人が多い実態を真剣に考えていかなければならないでしょう。

<サラリーマン・マインド>
 
そして、サラリーマンが街づくりに積極的にならない原因として、社会全体の沈んだ感じがあるのではないかと思います。金融の不祥事、公共工事の賄賂、官僚の汚職などいろいろな業種、業界の問題が露呈しています。

これを聞くときちんと働いているサラリーマンは、自分たちのトップや官僚は一体何をしているのかという沈んだ気持ちになるのです。私は土木建築の会社に勤めていまして、公共事業などを担当します。こういった場面での不祥事などのニュースは気分が非常に重くなり、街づくりに参加しようという気が起こらないのが実際のところです。

<住宅問題>
 
最後に街づくりと関係している、住宅事情についてです。 戦後日本では主に持ち家政策が進められてきました。イギリスなど福祉社会の先進国では日本と比べて、公共住宅、賃貸住宅の整備率が高いです。

 この住宅問題は土地の問題と関係しています。多摩NTでも土地を資産として捉えるより、もっと有効活用して、賃貸の住宅や公共住宅やバリアフリーの住宅を整備する必要があるのではないかと考えています。

 最近、住都公団、供給公社の縮小・廃止などが言われています。これらの団体に対して市民の不信感や問題があるのも事実ですが、それを是正して戴いて、住宅の供給を止めるのではなく、今後も土地を有効活用した住宅を供給していく必要があると思います。

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